不登校問題

2006年03月01日

 先週、息子さんの不登校に悩むお母さんから色々な相談を受けていました。「中学三年生でもう、高校も決まっているけれど、中学二年から不登校になったし、進学予定の高校にも不登校の原因となった友人も行くことになっているので、高校にいってもまた不登校の繰り返しではないか、と心配で」と言うものでした。
 お母さんの話を聞いていると、子供さんに甘いところもある、一方で中学校の先生に対して大きな不信感も持っていらっしゃいました。
 私の手には余る問題と思い、私が最も信頼する不登校専門の単位制高校の校長先生に来てもらいました。昨日校長先生は来られ、私の事務所で4時間、根気強くお母さんの話しを聞かれました。お母さんはいちから話されます。時折感情的になって話の脈絡がつながらないときがあります。話しは下手ですので、まとまったものではありません。私が何度か話の腰を折り、「要するにこういうことですネ」とまとめようとしましたが、校長が真剣に聞いておられましたのでやめました。やはり相手が心行くまで聞いてやること、これが大切と感じました。そこからまず、始まると思いました。
 お母さんが十分に話された後、校長先生は静かに自分の学校で起きた、具体例を取り上げて話し始められました。
 不登校で一日も中学校に行かず、その高校に来た生徒。不登校は、家庭環境、いじめ、また無視されることなど、色々な原因が複合的に重なって起きていること。不登校専門の学校には同じ思いの子供たちが来ているので、時間がたつうちに仲間意識が芽生え、外に出ることに恐怖感を待たないようになていった事例。人との直接会話は出来ないが、ネットを使った会話なら出来る不登校の子供が、ネットの授業を受けるうちに、ネットに顔写真を出すようになり、そのうち授業に出てくるようになり、そしていつの間にか仲間ととけあって「先生俺、人の目を診て話せるようになった」と喜んで報告に来たことなど、感動するいくつかに事例を話してくれました。お母さんも引き込まれるように話を聞き、涙も流さんばかりでした。
 そして、校長は最後に「お子さんが今決まっている高校に少しでも行きたい気持ちがあるなら行かせたほうが良い。もしその高校でまた不登校になったらその時はいつでも受け入れますので来て下さい」と言われ、お母さんも安心して帰っていかれました。今度、その高校に見学には行かれるそうです。
 現代の若者。大人には理解できない色々な悩み、苦悩と戦いながら生きています。社会の勝ち組、負け組みの現象と一緒です。そこで子供の世界のいわゆる「負け組み」を放って置いたら終わり。負け組みにも大変な能力や資質を持った人材がいる、ということを忘れてはいけないと思います。その意味でこのような単位制の不登校を対象にした高校が受け皿としてあることは本当にいいことと思います。普通の高校は平均値、中間の生徒を対象にしかしません。きめ細かな指導を要求するのは無理です。不登校者専門のの高校があったり、また学習に熱心な子には特別の進学塾があったりしていい。民間の力による教育機関で公の教育で出来ない、いろんな方面をカバーしていく以外はない、のではないでしょか。
 ちなみにその高校は天草・御所浦(ごしょのうら)にある「勇士国際高校」。御所浦という島ですのでコンビニが無い、携帯が使えないなど、ものを大切にする環境が自然に備わった所です。校長は私の盟友野田将晴氏(元県議会議員)です。相談終了の後、お互いの今後の夢を昼食をとりながら久々に語り合いました。
 明朝の辻立ち7時半山鹿、8時鹿本。