TPP危うし
2015年07月29日
TPPの閣僚交渉が今日からハワイで始まります。我が国の焦点は農産物と自動車部品です。私の場合は農村地域出身ですので農産物の関税が気がかりです。
米や麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖には一定の関税をかけて、外国からの農産品が入りにくくすると同時に、関税で得た収入は「農畜産業振興機構」という独立法人に入り、そこから生産者に補助金や交付金として配分され、国内の農畜産業を守ってきました。
しかし関税が低くなる、また撤廃されると外国の農畜産物が入ってくるだけでなく関税収入もなくなり農業関係者への助成の財源がなくなります。
都市住民は「安く買えるものは外国産だろうと安いに越したことはない。購買や取引が増え経済も成長する」と言うかもしれません。しかし食糧を外国に頼ることはいざというとき危険です。最近は成長著しい中国があらゆる農産品を買い占め日本は買い負けしています。そのうち外国の農産品が高くなってしまい、その時わが国の農業も疲弊していたら国家としての形をなしません。国民も貧困のどん底に陥ります。
それに都会だけの国家は考えられません。やはり山あり川あり田んぼあり、放牧あり。金融などによる利潤追求だけでなく、汗を流して働きお互いに協力し合って暮らす、そんな社会のほうが健全で長続きしますし、心豊かで感受性に富んだ人材が育ちます。
TPPは経済を活性化させるための貿易交渉ですが、同時に私たちはどんな生活を送り、そのような国にしたいかを考えなくてはなりません。既にシンガポールや韓国が一次産業より貿易重視に舵を切りました。しかしこれらの国が今後どうなるか予断を許しません。私たち日本人は賢い国民ですのでじっくり国の方向性を考えていかなくてはなりません。このまま経済成長だけに流れていくことに危機感を持っています。