平和安全法制の難しさ

2015年06月08日

 安倍総理の悲願である平和安全法整備は特別委員会で審議されていますが、次々に難題が降りかかり審議は順調ではありません。先週は自民党が推薦した学者の参考人が、「集団的自衛権の行使は違憲である」と発言して騒然となりました。
 最高裁判所は、「法律の最高判断機関は最高裁判所だが、政治の判断は内閣と国会にゆだねる」としていますので憲法に関する解釈と現実の世界のパワーバランスを見ての政策決定は違って当然ですが、そこは立憲主義に照らせば、政治が勝手に憲法を解釈していいことにはつながりません。
 地元に帰り、平和安全法制の大切さを詠えますが、なかなか難しい。分かっていただける団体は分かられますが、女性や子ども孫を抱える中堅、高齢者はやはり、武力行使への不安とリスクを言われます。そこは理屈で説得できるものではありません。
 ドイツでG7サミットが始まりますが、サミットを前にドイツもフランスもイタリアも日本の今回の平和安全法制には理解を示しているようです。
 ドイツはアフガン戦争の時に5000人の軍を出し50人以上の死者を出しています。イギリスは当然ですし、フランスなども軍を出し犠牲は払っています。スイスやアイルランドなどもそうです。
 欧米では正義や国家のためには血を流して目的とするものを獲得する、というのが常識ですが、日本の場合はあの大きな戦争を体験していますので「もうこれ以上、戦争に巻き込まれないように」という願望と考えが支配的です。それはそれで正しいのかもしれないと思います。
 しかし、憲法の前文にも次のようなことも書いてあります。
 「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、(我が国は)名誉ある地位を占めたいと思う」そして更にこう続きます。「自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等な関係に立とうとする各国の責務である」と。
 つまり、他国で悪い政治が行われている時は国際的に協力してそれを除去するために積極的に動くこと。その主要なメンバーに日本もなりたい。自国のことだけでなく他国のことにも関心を持ち、行動を起こすことが主権国家としての責務であると言っています。
 この前文を読む限り、今回の平和安全法制は、運用をしっかりしておけば成立させておかなければならない法律であると思います。これから更に粘り強く会合を重ね、現実政治の中でのこの法律の大事さをを訴えてまいります。