TPPは慎重に、丁寧に

2013年09月19日

 TPPの主席交渉官会議がアメリカ・ワシントンで始まりました。TPP交渉は市場アクセス(関税)、知的財産権(薬品の特許期間など)、政府調達(国内の入札制度など)、環境(主に漁業資源)などに分けて行われますが、その責任者による交渉で、まさに真剣勝負の交渉です。
 わが国は特に市場アクセスで農業分野を守らなくてはなりません。米や麦など重要品目を守るという国会決議もあります。また環境分野ではアメリカが漁港や漁船建造に対して補助金を出すのは漁業資源の枯渇につながる、と私たちにはとても理解できない理論で補助金廃止を迫っています。その他薬品の特許期間を伸ばす、などアメリカの攻勢はすさまじいものがあります。
 それも来年アメリカの中間選挙を控え、民主党のオバマ大統領は過半数を取るために、アメリカ国民に対してこれだけ輸出が伸びる環境をつくった、それによって雇用が増大する、というアピールをしなければならないためです。そのために年内合意を迫っています。
 これはまさに国益をかけた戦いです。アメリカの選挙の都合で安易に妥協して合意を急ぐ必要はありません。また細かいところは、これからの交渉に任せて大筋合意、という実績も作りたいところでしょう。しかしこの「大筋」というのが曲者。「合意をしているのだから逆戻りさせるような論議はするな」という論法に変わってきかねません。
 私たちも交渉内容をしっかり検証していかなくてはなりません。何としても情報を入手して、不利な交渉なら国民の声で是正させなくてはなりません。
 来月8日から、インドネシアのバリ島でAPEC(アジア太平洋経済協力)会議が開催されますが、ここで大筋合意でしゃんしゃん、ということだけは避けなければなりません。