水がたまらないダム

2009年04月16日

 昨日は東京からの日帰りで大分県竹田市に行き、水がたまらないダムとしてすっかり有名になった「大蘇ダム」の今後の問題について地元の方々との話し合い、説明会に行ってきました。

 同ダムは昭和54年に着工しました。当初の建設費用は130億円。熊本県阿蘇郡の産山村というその一帯では最も高地にある場所に農業用水用のダムを造り、約400万トンの水を貯め、それを大分の竹田市や熊本県の波野村に農業用水として流し、水田にする一方で、畑地にも通水してトマトや各種野菜を作ってもらい大分・阿蘇一帯の農業振興を計ろうという壮大な計画でした。水を期待して待った農家は両県で一万人近くになります。今か今かと皆さんダムの完成を待ち続けました。

 約10年間で完成の予定だったんですが、工事が難航し完成したのが平成16年。しかも工事費用は当初の4倍以上600億円に達しました。そして試験的に水を貯め始めたのが翌17年。しかし、水がたまりません。梅雨で溜まっても暫くすると地下に水が浸透して水位が低くなります。そのような状態が続いているため、地元の土地改良区などが怒りを爆発させ、今日に至っています。

 説明会では農林水産副大臣が招かれ、これまでのことに対して陳謝をされました。更に今後農家の方々に負担金などで迷惑を掛けないこと、ダム以外の農業振興策で何が出来るかを考えること。そして秋までに水がたまらない原因や今後の方策などを取りまとめて地元に発表する、と約束されました。

 会場から「ギブアップ宣言なのか」「この辺は火山岩で本当に水は溜まるのか、と以前聞いたとき技術者は私たちが溜まるといっているんだから大丈夫、と言われた。あれはなんだったんだ」「これ以上延びて、負担金も増えるようだったら堪らない。何とかして欲しい」など切実な意見が出されました。

 私が司会をしましたが余りに活発な意見が出て、会議が長引きとうとう熊本空港から乗る予定にしていた便に乗り遅れ、大分空港に急きょ変更して上京しました。農業と水。切っても切り離せない関係ですが、これが行政や政治のせいで切られて、農家や自治体がバカを見るという事実は幾つかあります。やはり政治の力で何とかするしかありません。